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小池都知事は都民に議会の場でなにを発言したか?

「都知事マイニング2020」で発言を見える化を

· 選挙,シティズンシップ,東京都知事選2020,議会マイニング

※注:選挙期間中の公開にあたり、事実をベースに小池知事の議会での発言を紹介することを趣旨としています。

 東京都知事選挙が1週間後に迫る中、早稲田大学マニフェスト研究所は、小池都知事の議会での発言を可視化した「都知事マイニング2020」を公開しました。

 

 「都知事マイニング」とは、議事録等の膨大な量ある文章から、出現頻度の多い単語や相互に関連ある単語を取り出し分析する「テキストマイニング」の技術を使い、知事が議会でどんな発言をしてきたかを分かりやすく可視化するツールです。

 2018年「議会マイニングin町田」を皮切りに、「議会マイニングin舞鶴」、「議会マイニングin沖縄」を公開してきました。今回は、「議会マイニング」を「都知事マイニング」として、「東京都知事4年間の都議会での発言を可視化する」ことを目的に、企画制作しました。

 選挙で当選してから次の選挙までの4年間、どのようなテーマに注力してきたかを、議会での発言の分量から分析することができます。つまり、前回選挙で掲げた公約を、4年の任期の間、議会でどの程度説明・発言してきたのか、検証する一つの材料となります。

 今回公開した都知事マイニングでは、小池知事が当選した2016年から最新の2020年までの議事録を収集しています。

 表示スタイルは2つあり、「ワードクラウド」(出てきた頻度の高い言葉ほど、大きく表示)「関連ワード」(言葉の結びつきをネットワーク上にして表示)です。

 今日は、私なりの「都知事マイニング」の使い方を紹介します。工夫すると、様々な使い方ができると思いますので、小池都政の4年間を振り返りそれぞれの気づきになれば幸いです。

◇  ◇  ◇

□前回の選挙で何を言っていたか?

 ~都政透明化や7つのゼロなどを公約

 まず、4年前の選挙でどのような公約を掲げていたか確認します。

 都政の透明化、五輪関連予算の適正化、行財政改革等を指す「東京大改革」、「ダイバーシティー」「セーフ・シティー」「スマート・シティー」からなる「3つのシティー」、待機児童ゼロ、介護離職ゼロ、残業ゼロ等からなる「7つのゼロ」等の公約を掲げていました。

□2016~2020年の議会での発言をみてみる

 それでは、知事就任直後2016年のマイニング結果を見てみましょう。

 2016年といえば、オリンピック・パラリンピック東京大会を4年後控える時期でした。議会での発言もやはり「オリンピック」「パラリンピック」「組織員会」等、五輪に関係するワードが特に頻出しています。

 その他では、「豊洲市場」「情報公開」等、当時報道でも多く登場したキーワードが目立ちます。

 それぞれの言葉同士のつながりをネットワーク状にして表す「関連ワード」を見てみましょう。2016年は「情報公開―進める」、「無電柱化―進める」、「女性―活躍」、「保育―サービス」などが出てきます。

 情報公開は「東京大改革」の、無電柱化は「セーフ・シティー」の、女性や保育は「ダイバーシティー」の政策として4年前に公約していたテーマでした。

 その後の取組みがどのようなものであったかについて、知事のウェブサイトに「実績」が掲載されているので、確認してみました。

 すると、無電柱化については、2017年に「無電柱化推進条例」を制定し、区市町村道の無電柱化推進のための支援が行われたようです。

 では、それ以降、果たして都道や区市町村道ともにどのぐらいの電柱が地中化されたのか、具体的な数値とともにその成果が気になるところです。

 待機児童解消では、2020年現在でいまだ2300人と、4年前の「待機児童ゼロ」は達成されていない状況です。

 2017年は特に「築地」「豊洲市場」「移転」が目立ちます。関連ワードで言葉のつながりを見てみると、「豊洲市場」に「専門家」「安心」「確保」「移転」「進める」が、「築地」には「再開発」「生かす」と連なります。

 小池知事がこの年、「築地は守る、豊洲を活かす」とした豊洲市場を活用しながら築地市場を再開発する基本的な方針を表明(6月20日に記者会見)したことが思い出されます。築地市場を豊洲へ移転する際の安全確保や、築地の跡地利用は都議会でも大きな議論になっていたようです。

 その他の分野では、「受動喫煙」「防止」が頻出しています。オリンピック・パラリンピックのホストシティとして、「受動喫煙防止条例」を2018年に制定しており、知事のウェブサイトでも「実績」として記載されています。罰則付きのこの条例は、国よりも厳しい条例として大きな議論となっていました。

 2018年は、「連携」「推進」「環境」「活用」等のワードが目立ちます。

 これらから個別の政策テーマを類推することが難しく関連ワードでも上位に上がってこなかったため、この場ではそれ以外のワードに注目したいと思います。

 特に注目したいのは、前年までには無かった「子供」です。関連ワードを見ると、「家庭」「虐待」と連なります。

 思い起こすと、2018年は目黒区で女児虐待事件がありました。虐待事件は東京都だけでなく全国で後を絶たず、とても大きなニュースとなり対応策が急がれていました。こうしたことを受けて、都議会における知事の発言の中でも「子供」「家庭」「虐待」等のワードが頻出したと考えられます。

 「子供への虐待の防止等に関する条例」の制定や、児童相談所の人員拡大等の緊急対策が実績として掲載されています。

 「地方」「財源」も気になります。この頃の知事会見の記録を見てみると、地方消費税の清算基準見直しや、地方法人課税の偏在措置等、政府による税制見直しに対して反対する意見を表明していました。

 12月14日の知事会見記録では、「『地方分権』という言葉は死んだと言っても過言ではない」と発言し、このテーマについて都議会での議論も活発になったのではないでしょうか。

 知事の記者会見は、定例で開かれており、発言の全文が東京都のウェブサイトで公開されていますので、議会での発言に加えてこうした情報も参考になります。

 さて、2019年はどのような発言が頻繁に出たでしょうか。

 引き続き「築地」「市場」が目立ちますが、加えて「まちづくり」が登場してきました。関連ワードを見ると、「築地」には「まちづくり」「再開発」が連なっています。

 前年2018年10月に豊洲市場が開場したことで、都議会での議論の中心が豊洲への移転、安全問題から、築地のまちづくりや跡地利用に移ったと考えられます。

 前年まででは登場してこなかった「医療」「高齢者」が目立ちます。関連ワードを見ると、特に「医療」は「がん」や「病院」と連なっています。

 知事のウェブサイトでは、「医療」「がん」に関する実績の記載は確認できませんでしたが、今回の公約では「免疫力強化:フレイル予防・EIM(「運動は薬」)の強化(特に在宅や少人数の場)」「生活習慣の改善:禁煙治療」「がん対策の戦略的展開(早期発見・早期治療、緩和ケア)」等の政策を訴えています。

 2020年はなんといっても「新型コロナウイルス」「感染症」が目立ちます。関連ワードでは、「新型コロナウイルス」に「感染拡大」「防止」「医療機関」「体制」「強化」等が連なっています。

 2020年の議会といえば、第1回定例会、第2回定例会ともにコロナ禍にあり、都議会での知事発言もコロナ関連が多くを占めたことが分かります。

 コロナ禍での都知事選ですので、各候補者はコロナウイルスへの対応を公約に掲げています。

 早稲田大学マニフェスト研究所では、「補償」と「感染対策」に分け、コロナウイルスへの対応について各主要候補者の公約を一覧にまとめていますので、是非合わせてご覧ください。

≫ 主要候補者の「公約比較一覧

 さて、知事就任後の2016年から2020年直近までの議会での知事発言を抽出し、頻出したワードを拾って、どんなテーマについての発言が特に多かったのかを見てきました。

 4年前に掲げた「7つのゼロ」は、「待機児童」や「電柱」に関係するワードを都知事マイニングから見つけることができた一方で、「介護離職」「残業」「満員電車」「多摩格差」「ペット」に関係しそうなワードを見つけることはできませんでした

 議事録に載っている発言の「量」を可視化することによって、膨大な議事録を読まなくても、「何を」(ワードクラウド)、「どのように」(関連ワード)発言したかを分かりやすく示すことができるのが、「都知事マイニング」の長所です。

 一方で、それらを「量」でしか分析することができない点は、弱点であり課題です。

 そのため、都知事マイニングを使っておおよその傾向を俯瞰した後、皆さんが特に関心のあるテーマについて、更に別の方法を使って調べてみる、ということを是非してみてください

 例えば、都議会のウェブサイトで公開されている実際の議事録本文をキーワード検索等で辿ってみる、先ほど紹介したように知事の記者会見の文字起こしを見てみる、東京都のウェブサイトを見て気になるテーマに関係しそうな条例や予算がどうなっているのか経過を確認してみる等の方法があると思います。都知事マイニングを一つの「きっかけ」にしていただいて、次の行動に繋げていただけたらと思います。

 早稲田大学マニフェスト研究所では、今回の東京都知事選挙に当たって、主要候補者の「公約できばえチェック」や「公約比較一覧」を公表しています。

 都知事選挙には全員で22名が立候補していますので、各候補者のウェブサイトやSNS、選挙公報等も見て、比べて、考えて、そして自分の意見をもって投票する際の参考にしていただければ幸いです。

(参考にした資料)

・東京都選挙管理委員会HP「東京都知事選挙 選挙公報(平成28年)」https://www.senkyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/h28tochiji_kouhou.pdf

・東京都HP「知事の記者会見」 https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/governor/governor/kishakaiken/index.html

・小池ゆりこHP「政策」 https://www.yuriko.or.jp/policy

・小池ゆりこHP「実績」 https://www.yuriko.or.jp/result

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