背景
■認知症予防には、軽度認知障害(MCI)の早期発見が鍵だが、高精度なMCIの簡易検査手段の認知度は極めて低い
認知症高齢者は2012年時点で462万人と推定されていますが、現在の認知症有病率を基に人口統計に当てはめると、団塊の世代が75歳以上となる2025年には約700万人と2012年と比べ200万人以上増加すると予測されます*1。認知症の多くが、健常者から軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)、そして認知症と移行していきます。認知症を発症した場合、完治することは困難とされていますが、MCIの段階で早期に発見し、適切な治療・予防対策を講じれば、発症を遅らせたり、回復する可能性があることが明らかになってきています。
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センターも、認知症予防においては、MCIの可能性を早期に発見し、認知症になる前から適切な対策を行っていくことが必須であると論じています。
しかしながら、簡易的な方法で高精度にMCIを検査できる手段があることがあまり認知されておりません。
■先進的な自治体では、既にMCIの簡易検査を行政サービスとして提供
平成25年5月に、愛知県尾張旭市が全国の自治体で初めて、脳の健康チェックテスト“あたまの元気まる”サービスの提供を開始し、現在では、40を超える自治体でこうしたサービスが提供されるようになっています。
■2025年における認知症予防効果(認知症の発症を5年遅らせることの効果)は、2兆円の医療費・介護費削減と38万人分相当の介護人材工数削減の可能性
多摩大学ルール形成戦略研究所で、2025年時点における認知症の発症を5年遅らせることによる効果(医療費・介護費の削減など)の推計を行った結果、認知症の発症を5年遅らせることができれば、10.7兆円と見積もられる2025年の医療費・介護費を8.8兆円にまで下げることができる可能性があることが判明しました(1.9兆円の医療費・介護費の削減)。
更に、認知症の発症を5年遅らせることで、現在の認知症有病率と人口統計から見積もられる認知症高齢者数から40%程度削減することができ、厚生労働省が公表した2025年の介護人材不足問題(2025年に介護人材が約38万人不足*2)に対しても、38万人分相当の工数を削減できる可能性があることが分かりました。
■本セミナーの内容
本セミナーでは、多摩大学ルール形成戦略研究所より、認知症予防の効果と、認知症予防に求められる行政と企業の役割について説明します。その後、全国の自治体で初めて、脳の健康チェックテスト“あたまの元気まる”を行政サービスとして提供され、徐々に効果を出し始めておられます愛知県尾張旭市長の水野義則様より、“あたまの元気まる”の取り組みのご紹介と効果を出す上での政策上のポイントなどにつき、ご講演頂きます。最後に、簡易的な認知機能確認・測定ツール“あたまの健康チェック”を提供している株式会社ミレニア様より、あたまの健康チェック®の概要と特徴をご説明頂きます。なお、株式会社ミレニア様の“あたまの健康チェック”は、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センターが運営する健常者登録システムIROOPの認知機能検査としても採用されており、国も認めた信頼性高いツールになります。
*1 厚生労働省「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」
*2 厚生労働省が、平成27年6月24日に、2025年に介護人材の需要見込みが253万人となるのに対し、現状推移の場合、介護人材供給は215万人に留まり、需給ギャップが約38万人生じる可能性がある旨を公表
次第・プログラム
7月27日開催 早稲田大学マニフェスト研究所、多摩大学ルール形成戦略研究所共催セミナー
「認知症予防に求められる行政と企業の役割」
日時: 2018年7月27日(金) 14:00~16:00 (受付開始13:30)
場所: 早稲田大学 日本橋キャンパスWASEDA NEO(COREDO日本橋 5階)
≫アクセス
主催: 早稲田大学マニフェスト研究所、多摩大学ルール形成戦略研究所
■プログラム・講演者
・ご挨拶
早稲田大学マニフェスト研究所 中村 健
・認知症予防に求められる行政と企業の役割
~認知症発症を5年遅らせることの効果は、2兆円の医療費・介護費削減と38万人分相当の介護人材工数削減の可能性~
多摩大学 ルール形成戦略研究所 所長 國分 俊史
・あたまの健康チェックテスト「あたまの元気まる」の取り組み紹介
愛知県尾張旭市 市長 水野 義則 様
・健康な方向け認知機能スケールとその活用事例
~あたまの健康チェック®の概要と特徴の説明~
株式会社ミレニア 新山 賢司 様
※講演後には、セミナー参加者の皆様との質疑応答や名刺交換を行う予定です